R6年3月の俳句:短歌:川柳 投稿壇  

 寸評:推敲=片桐基城先生

☆ますます活性された句が多く、何よりの事と嬉しく思っています。また、新しいお名前にお目に掛ったりと、

 皆様の熱心な詩心に感激しています。作為を重んじて書きましたが逸れ(そ)ていましたらお詫び致します。

 【毎月投稿〆切日=20日】

☆俳句の部

〔角田和道:今光教区1部〕

◎「紅梅や参りし朝の楽しけれ」

●寸評:梅見に出掛けられた時の、さも楽しそうな様子が窺われる句です。「参りし」と過去形なので、既に観梅

してきたのでしょうが、、観梅する楽しさを詠ってみますと。

★添削:「うきうきと観梅に行く朝の道」

 

〔青木幸子:事務局職員〕

◎「冬の夕妣の汁の香ほのほのと」 ※妣=はは、又はと読む この句は、「はは」読み。
●寸評:副詞、仄々は「ほのぼの」『ほのほの』とも読みます。夕餉にて、亡くなられた母御の忘れられない香りが

匂うと云う素晴らしい心情句です。上五から中七を考え直して。

★添削:「妣の香の冬の夕餉をほのほのと」 この句は「はは」と読む。

    

大和佳子:松原教区〕

◎「幸福のロウバイ錚々くるい咲き」 ☆錚々=そうそう

●寸評:蝋梅が錚々とくるい咲きしているのですね。錚々は「~と」とか「~たる+名詞」の形をとる形容動詞で

名詞言葉でではないので中七の「名詞・名詞」を止め、動詞で終わる形に。

★添削:「蠟梅のはや錚錚と狂い咲く」

     

〔澤村まつ子:高根沢教区〕

◎「あぜ道に春まちきれず桜咲く」

●寸評:ふと、あぜ道の桜の樹を視たら、くる日、くる日の暖かさに待ち切れないのか花が咲いていたの

発見が斬新です。異常な気候は、自然も人も同じに感じますね。発見は良かったのですが季語が重なって

います。「春」を言わなくても解ります。句跨りになりますが。

★添削:「明日を待てずにあぜ道の桜咲く」

 

◎「待ちきれずつぼみふくらむ桜かな」

●寸評:先の句を詠うちょっと前に視た桜の樹ですね。良く詠われています。「蕾」は敢えて言わず他の言葉を

使って飾ってみましょう。

★添削:「待ちきれずにぽつぽつと咲く桜かな」

         「待ちきれずに咲きはじめたる桜かな」

    

◎「ぽかぽかとほっとするまに手かじかむ」

●寸評:余りもの暖かさで、ほっとしている途端に手が悴んできたのですね。忙しくお料理や洗濯などをしている

女性こそが身にすることでしょう。自然って怖いですね。

★添削:「ほっと気を休めば指の悴みぬ」

 

〔渡邉孝之:江曽島教区二部〕

◎「糸遊に童飛び込む鬼ごっこ」

●寸評:遠くのものが、ゆらゆらと揺れるよ

うに見える陽炎を糸遊とも言いますが、其処を狙っての鬼ごっこ

とは面白い発見ですね。中七を考えて見ます。

★添削:「陽炎にゆれる子供と鬼ごっこ」

 

◎「春一番岩肌洗う磯の波」

●寸評:砂で無く岩石の多い海辺の事を磯浜と言います。強い磯の波を怒涛と言います。それらを考え直して

みましょう。

★添削:「磯浜の怒涛を追って春一番」 

 

◎「春の雪ゆき降ろしたと軽き雲」

●寸評:雪の多い地では屋根上等に積もった雪を降ろしたりするので「雪降ろし」と云う季語があります。

が、掲句は「~した」と言わないので雲の意も解りません。また、春の雪は積もらず溶け易いので、

何をどう言いたいのか、はたと困りました。そこで、季語「春の雪」に絞り、勝手に雲の言葉にして

みました。

 

★添削:「春の雪もう溶けたなと雲の声」 

 

☆短歌の部

〔石川けい子:城東教区〕

◎「前方に白い帽子の男体山ハンドル握ってお寺参り」

●寸評:雪を被った山を「白い帽子」とは絶妙な具象です。ルンルン気分でお寺参り・・・とは、身も心も

若さそのものですね。出始めをちょっと変えて。

★添削:「男体山の白い帽子を目の前にハンドルとってお寺参り

 

◎「湯気の立つ夫待ちつつ台所早く帰れと箸を持つ」

●寸評:この湯気は、苛々するあまりの湯気ですね。苛々しながらもご主人を待ちわびている様子が浮かんできます。

最後、「涙箸」は折角の料理が汚れますが心の訴えと思って。 

 

★添削:「湯気立てて夫を待ちいる厨にて早よう帰れと涙箸」 [*「厨」=くりや・・台所の意〕

 

〔清澤 修:壬生教区二部〕

 

◎「我妻の卓球動画を初見してあまりの若さにオッと驚く」

●寸評:奥様が、敏捷に敏感を要する卓球をされていたとは凄いですね。そして、奥方の若いころの動画に

吃驚(きっきょう)していたりと仲の良さが隠れて見えてきます。驚きを強調して。

★添削:「卓球の動画を観れば若かりし妻に驚き驚かされる

 

☆川柳の部 

 

〔福田時子:江曽島教区二部〕

◎「飲みましょうかまあまあ一杯植木鉢」

●寸評:植木鉢の手入れする人は水や日の光への心配りがあるのではないかと思いますが、ちょっとお休み

しませんか・・・と、心を籠めての会話を面白く詠っています。添削は不要ですが。

★添削:「まぁ一杯飲みましょうよ職人さん

 

〔清澤 修:壬生教区二部〕

◎「大洗夜の宴の大笑い」

●寸評:同窓会とか仲の良い方々の集まりですね。七つの「オ」音によってのリズムが素晴らしく大洗での

宴会の様子が見えます。「宴」を座五にし「大(おお)」を強調しましょう。

★添削:「大洗で大笑いする夜の宴

 

◎「阿字ヶ浦ひねる一句も味がある」

●寸評:阿字ヶ浦は、弓なりの弧を描く美しい海岸線が魅力の海水浴場がある処です。掲句の場合「味のある

一句」を、と入れ替えるだけで完成すると思います。

 

★添削:「味のある一句をひねる阿字ヶ浦

 

〔安保 孝:江曽島教区二部〕

 ◎「月一回心で叫ぶ局長室会議」

●寸評:会議となると、それが月一回であろうと煩わしくなるものです。そこを「心に叫んで」癒しているのですね。

気持ちは良く解ります。もっと省略して。

★添削:「叫びたくなる定例の会議室

 

◎「御奉公頑張った夜は金縛り」

●寸評:何であれ身を尽くして務めた夜は、縛られたようで動けない何も出来ないと嘆いているのでしょうか。

金縛りになったように、と努力を言いたいのかと思い、参考にしていただければと詠い直してみました。

 

★添削:「御奉公の後はひたすら眠りたい

 

◎「掃除当番今朝もルンバとがんばルンバ」

●寸評:上五に字余り字足らずは、中七でカバーできますが、その中文字が八文字では無理でしょう。此処は

「当番の」だけでいいですね。中七以降、耳にした事のある言い回しですが、まぁ云い得ていて滑稽を超えて

の佳い句です。

★添削:「当番の今朝もルンバとがんばルンバ

     

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