R6年8月の俳句:短歌:川柳 投稿壇  

 寸評:推敲:選者=片桐基城先生

☆今月はひとり一句の鑑賞をしました。言葉の無駄を見掛ける作品が多かったです。

 俳句が抱える十七文字を弁え、言葉と言葉の間の詩情を訴えて、言葉で

 飾らない事に専念しましょう。とは言え、そこがこそ難しいのですが。

 

 【毎月の投稿〆切日=15日】

 

☆俳句の部

〔青木幸子:事務局

一席「溽暑下の赤信号に一呼吸」

寸評:何処かに、お出掛けの帰途でしょうか。あまりの暑さに、それも蒸し暑さに耐えている時

    赤信号にほっと一息・・・と、歩を止めた動きが難季語をもって言い得ています。

 

清澤 修:壬生教区一部

二席「七夕に逢瀬叶わぬガザの空」 

 ・寸評:遥か地中海方面のガザ地区の空に向って、七夕こその逢う瀬に叶わないその哀しさを訴えて

    いるのですね。「・・・にこそ」の意の「「に」ですが「や」で切ったら如何ですか。

 

金子龍夫:江曽島教区二部

三席「厳島神が宿りし梅雨の海」

寸評:構成が「山本山詠法」になっていますが、それを忘れさせてくれそうな把握に共鳴しました。

    上下を入れ替え、「梅雨の海に・・・」と助詞に「に」を加える事で俳句になります。

     

林  弘:壬生教区二部

◎「友と逢い昔日に帰る土用かな」

寸評:中七が八文字と字余りです。中七のそれは絶対的に避けましょう。「昔日」を「往時」と

    詠う事で素敵な句になります。捉え処は良いので見過ごしたくない残念な作品です。

〔渡邉孝之:江曽島教区二部〕

「片陰や取り戻したる元気魂」

寸評:それまで、人気のない日照り径だったところ、建物の蔭とかに来て元気を取り戻したのですね。

    思いは解りますが言わずとも残念です。

・添削:「片陰に元気の戻る休み石」

 

角田和道:今光教区一部

 「夕立ちや庭石打ちて光ける」

 寸評:景があり触れていますが鋭く訴えているので、少し変えて見ましょう。「や」と切らずに。

    また季語は「夕立」で「ち」は不要です。

・添削:「夕立の強く打ちたる庭の石」

     

〔金子龍夫:江曽島教区二部

「ホトトギス聲を聴きつつ山路いく」

寸評:進行形を用いて句に動きを齎していますね。{※齎し=(もたらし)}中七「聲を・・・つつ」を、詩的に

     工夫してみましょう。また助詞の「の」を加え「かな」と切って。

・添削:「不如帰の耳に焼き付く山路かな」

 

〔金子敏枝:江曽島教区二部

・「種を取りほうずき口に音鳴らす」

寸評:鬼灯を吹くには先ず種を取らねばなりません。そうした誰でも知っている極く当たり前の言葉を言うのは

    止めましょう。

・添削:「鬼灯を鳴らせる唇(くち)に残り種」

 

〔大和佳子:松原教区

「栗林鼻をつまんで走り抜け」

寸評:栗の花が咲いている栗林でしょうか。強烈に青臭い匂いのする花の匂いに耐えきれなくなっての仕草で

    すね。そこを詩的に詠いましょう。

・添削:「花の香に目鼻背ける栗林」

 

〔清澤 修:壬生教区一部

・「夏霞白きカーテン蜘蛛の糸」

・粘液が大気に触れて糸状になったのを蜘蛛の糸といいますが、白く霞んだ空の大気をカーテンとは面白い。

 ですが、三段切れ句です。

添削:「夏霞をカーテンとする蜘蛛の糸」

   

☆短歌の部

〔石川けい子:城東教区

・「想い出す磁器の紫陽花花鳥館案内人は京セラの人」

・寸評:出だし五文字「想い出す」は敢えて言わずに、起承転結風に徹しては如何でしょうか。

添削:「花鳥館の磁器に書かれた紫陽花を案内するのは京セラの人」

 

〔福田時子:江曽島教区二部〕

・「閃きて梅入り玉子焼き風味豊かに朝の食卓」

・寸評:梅の酸味がある卵焼きは美味しいです。そこに閃いたのですね。「玉子焼き」の玉子は「卵」と

    書きましょう。

・添削:「卵焼きに梅を加えてみたところ風味の活きた朝餉となりぬ」

 

〔清澤 修:壬生教区一部〕

・「山合の蒼穹眩し気も軽く植田畦道ただ逍遥」

・寸評:山と山の間に見る青い空に気分よさを感じつつ、漫ろに歩いているのですね。素敵な景が見えて

    きます。最後の六文字を「漫ろに歩く」としたら、もっと良くなりますね。  {※漫ろ=(そぞろ)}

 

 ☆人生訓&人生標語

〔清澤久子 :壬生教区一部〕

 

 ・「人は皆個性と宿題授かった。自分の色を活かしつつ、自分の答えを

   出せばいい。それが貴方なのだから自信を持って生きて行けばいいんだよ」

 

〔安保 孝:江曽島教区二部〕

 ・「王子様ガラスの靴で犯人捜し容疑者の女靴擦れひどく捨てたと自供」

 

 ・「御法様事件です!手塩にかけたかぐや姫見知らぬ奴らに連れ去られ」

 

 

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