R6年4月の俳句:短歌:川柳 投稿壇  

 寸評:推敲=片桐基城先生

☆当初、ホームページ文芸開所の頃は投稿者が2~3名でした。現在では11名と増えて担当者として

 嬉しい限りです。くんげ会の皆様、参加まってますよ。短歌、川柳以外の詩、作文、紀行文でも

 受付していますからね~~~。片桐基城先生の忌憚の無い推敲寸評添削を得まして、投稿者の

 皆様の詠む力が回を重ねるごとに向上しています。言葉遊びみんなで楽しみましょうね。

 【毎月投稿〆切日=20日】

☆俳句の部

〔角田和道:今光教区1部〕

◎「春雪や日の出とともに姿消す」

●寸評:日の出を迎えたと思ったら、降りしきる春の雪が積もろうともせずに消えてゆく様子に触発の発見が新しい

    ですね。一句一章にしてみますと。

★添削:「日の出した途端に消える春の雪」

       「日の出するや否や消えゆく春の雪」 

 

〔青木幸子:事務局職員〕

◎「病室の妣の手鏡窓凍てる」 ※妣=はは、又はと読む この句は、「はは」読み
●寸評:凍てる心を季語に置き換えて、果敢なく病に敗れた母親を思う情が活き活きと見える完成句。

    部屋を言わず上五を変えて、心の深さをより深く訴えて。

★添削:「貪着の妣の手鏡窓凍てる」 「はは」と読む。〔●貪着(とんじゃく)=むさぼり執着する事。〕

    

大和佳子:松原教区〕

◎「春一番過ぎたる後の穏やかさ」 

●寸評:立春後の強い南風に煽られていたけれど、その風が立ち去り周辺の草も樹もホッとしている様子が

    見えてくる句です。もう少し考えて倒置法を用いて。

★添削:「春一番去って街中落ち着きぬ」

     

〔澤村まつ子:高根沢教区〕

◎「寒暖差身も心にもすきま風」

●寸評:日本家屋にはよくある戸や壁の隙間から風が入ってきますね。それを訴えているのですから、この

    上五「寒暖差」を言い換えてみましょう。

★添削:「身ぬちにも心にもくる隙間風」

 

◎「春日差し感謝を込めてふとん干し」

●寸評:なかなか晴れた日が来ないので、布団も干せなかったけれど、春の日射しを漸く(ようや)浴びての

    思いですね。直接過ぎるので、此処は布団に擬人化して。

★添削:「馥郁と日射しを浴びる干し布団」

          

〔渡邉孝之:江曽島教区二部〕

◎「」

●寸評:遠くのものが、ゆらゆらと揺れるよ

うに見える陽炎を糸遊とも言いますが、其処を狙っての鬼ごっこ

とは面白い発見ですね。中七を考えて見ます。

★添削:「陽炎にゆれる子供と鬼ごっこ」

 

◎「枝揺らし青空睨む巣立ち鳥」

●寸評:巣から離れたばかりで翔ぶことの出来ない若鳥の希望に充ちた様子を捉えた句ですね。上五から

    中七の焦っている事を主体に考えて見ましょう。

★添削:「空を睨み枝を揺すぶる巣立ち鳥」 

 

◎「梅花散り残り香のこす彼岸かな」

●寸評:高い香りを放つ梅が、お彼岸になってもまだその周辺を香っているのですね。その推移を季語を重ねて

    の訴えで失敗しましたね。 

★添削:「散る梅の何時までのこす香りやら」

 

◎「菜の花や揺らぐ川面に揺らぐ色」

●寸評:菜の花の揺れを安定したものが何かのきっかけで揺れる「揺らぐ」をオノマトペで強調したいい句ですが

    揺れている川面に揺れる「色」なので。

★添削:「菜の花や揺れる川面に色揺らぐ」

 

〔鈴木サト子:石宮教区〕

◎「春を待つ寒さこらえるふきのとう」

●寸評:地中から出た蕗の薹は、まさに春を告げるものとして知られています。掲句はその事を説明している句です。

    而も季語三つで表そうとしています。

★添削:「昨日きょうとひたすらに待つ蕗の薹」

 

〔清澤久子:壬生教区一部〕

◎「庭花壇新芽探して春を待つ」

●寸評:花壇を前に早く芽が出ないものかと、新しい芽を一生懸命探しているのですね。暖かい春が早く来て

    早く新しい芽が出ないかの思いを活かして。

★添削:「今朝もまた花壇に花の芽探す」

 

〔清澤 修:壬生教区一部〕

◎「春告げる初鳴き調子今一つ」

●寸評:春到来を云う鳥が初鳴きしたのですね。鶯は別名「春告鳥」と云い、鶯が初めて鳴く事を初音と云います。

    季語を拡げる句は避けましょうね。

 

★添削:「鳴き声のいまひとつなる初音かな」

 

〔金子龍夫:江曽島教区二部〕

◎「鶯鳴き持病癒す八十路かな」

●寸評:八十歳代になったいまなお、持病の患いに悩まされているのですね。鶯の啼き声に想いが強く癒されたと

    云うその思いに同感します。

 

★添削:「八十路なる宿痾を癒す初音かな」 ●宿痾(しゅくあ)=持病、長く治らない病気の意。

★添削:「宿痾いま春告鳥に癒される」

 

◎「小綬鶏のクヌギの小道駆け去りぬ」

●寸評:春の鳥、小綬鶏が橡林を駆け去ったと云う、その樹は五月に花が咲き秋の実は団栗で知られています。

    この句は完成句です。

★添削:「小綬鶏の橡林を駆け去りぬ」   ●橡林(しょうりん)又は(ぞうりん)=くぬぎばやしの意。


◎「学童の杏花の下で鬼ごっこ」 杏花(きょうか)=あんずのはな
●寸評:この句も特に直すべくところは無い完成句です。敢えて言うなら、一句一動詞を弁えて(わきま)て、

    句に動きを入れたいですね。添削の中七が窮屈ですが。

★添削:「学童の鬼ごっこする杏花下

    

☆川柳の部

〔清澤 修:壬生教区一部〕

◎「此処はどこ頼りのナビも道迷う」

●寸評:ナビは頼るもの。「迷う」に助動詞「える」を付けて「頼える」にしては。

★添削:「此処は何処かなと迷えるナビゲーション

 

☆短歌の部

〔石川けい子:城東教区〕

◎「コロナあけ桜咲く頃会う約束の高期になった同窓の友」

●寸評:現今のコロナ禍が明ける頃の再会を詠ったのですね。言葉を整理して。

★添削:「花の咲く頃に会おうと約束の同期の友もいま高齢者

 

◎「茶色のワイシャツ渋めのネクタイ目を輝かせ二十歳初孫」

●寸評:字足らずの前半がちょっと気になりますが、お祝いに正装が見えてきます。

★添削:「紺色のワイシャツ渋いネクタイで嬉しい眼もて初孫を抱く」 

 

 

〔清澤 修:壬生教区二部〕

 

◎「我妻の卓球動画を初見してあまりの若さにオッと驚く」

●寸評:奥様が、敏捷に敏感を要する卓球をされていたとは凄いですね。そして、奥方の若いころの動画に

吃驚(きっきょう)していたりと仲の良さが隠れて見えてきます。驚きを強調して。

★添削:「卓球の動画を観れば若かりし妻に驚き驚かされる

  

〔福田時子:江曽島教区二部〕

◎「出番なしホットプレート古希過ぎてじっと眺めてそっと微笑む」

●寸評:古希を過ぎたいまの事を言いたいのだから、跨りますが五文字入れ替え。

★添削:「古希を過ぎ使用せぬホットプレート眺めてはじっと微笑む

 

〔安保 孝:江曽島教区二部〕

◎「お焚き上げ冬はよいよい夏はこわいこわいながらも通りゃんせ」

●寸評:歌詞を真似ては如何でしょうか。この名古屋弁、もう少し変化をつけて。

★添削:「お焚き上げ昼はいいけど夜こわい怖いけれども通ってみては

 

◎「寺内にてちょっといいかと言われたら心はソッコウ寂光参拝」

●寸評:「心は即行」の八文字を工夫すれば纏まりますね。 ●纏=(まと)と読む。

★添削:「寺内にてちと良い事を言われたら即行心でお参りしよう

 

☆人生訓

〔清澤久子:壬生教区一部〕

 ◎「揉め事の種は撒くまい拾うまい」

●寸評:常識を弁えましょう・・・と云う教えの言葉通り佳く纏めて添削は不要です。

 

◎「今日の日は明日のための道しるべ心を軽く意気揚々と」

●寸評:まさに人生の訓示ですね。添削は不要ですが、「日」を更に強調すると 

★添削:「今日の日は明日の「日」への道しるべ

 

 

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